あまね

球体関節人形製作の記録

アリスについて

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この人形を作ったのは、もう10年以上前で、私が人形制作をはじめて2体目の作品です。


半年くらいかけて1体目、30センチくらいの人形を完成させて、その勢いのまま、今度は大きい人形が欲しい、と1か月で完成させました。120センチあります。


この人形の衣装は、当時人形服を専門で作っておられた方にお願いしたものです。
私がイメージを伝えると、想像以上の素晴らしい服を作ってくださいました。

人形に服を着せたときの感動は今も忘れられません。


外から帰ってきて、自分の部屋に自分の作った人形がある。
それはもの凄い感動というか、不思議な感覚だったのですが、
特別だったのはこのアリスを作った時までだと思います。


完成した人形の写真をネットにアップして良いですか?とその方に聞かれたのですが、その頃の私は自分の人形を誰かに見てもらいたいという感覚が無かったので、お断りしてしまいました。

 

どちらかというと見せたく無い、自分だけのものにしておきたかったような、アリスはただ自分の部屋に欲しいというだけの人形でした。
とはいえ人形服はその方の作品なので、お断りして申し訳なかったなと、よく思ったりするのですが…

 

最近、私は人形を作る、展示などで見せる事はどういう事なのかを考えています。

 

個展やグループ展を続けているうちに、まず人形を見せるという前提で作り始めるようになってきた気がします。
その人形はどこに出すか、どう見せるか、何のために作るのかを考えてからテーマを決めたりスケッチをしたり。


なんとなく作り始めるような事は無くなりそれはそれで良いのですが、最近思うのは、自分の中に秘めておきたい、見せたくないという気持ちもやっぱり大事なのではないか?という事。


面白いことをしたいとか何かを表現したいという気持ちは持たなければいけないと思いますが、それは別にどう観てもらいたいとか、最初はそういうものではなかった気がします。
バランスなんでしょうが、たぶん最近は色々忘れてる事があるなと。


作ったものを見せる事が普通になってしまう、当たり前みたいになってしまう、それは違う。ちょっとそんな事を考えていました。